この体験談でわかること
飲食店経営は1件あたりの売上金額が相対的に少なく、かつ取引件数が膨大になりがちです。故意であるかどうかにかかわらず売上計上の漏れは税務署が最も重く捉える事象になります。実は経費管理よりもずっと重要度の高い売上管理ですが、目先でのビジネスに奮闘しているとどうしても漏れてしまうことはあり、、
今回の体験談投稿主のなぐもさんも飲食店経営を14年近く行っているベテラン経営者です。売上・所得の申告漏れを指摘された税務調査においてどのように乗り切って行ったか解説していきます。
体験者様の詳細
体験者様ニックネーム:なぐもさん
調査時の業務形態: 飲食業
売上と経費の構造:飲食業のため売上は注文により発生し、経費は、原材料、人件費として私と妻とバイト5人。そのほかにも家賃や原材料に光熱費がかかる。
確定申告の状況:毎年ご自身で確定申告を実施
突然の税務調査通知、その時の心境とは?
税務調査依頼の通知とその時の心境
なぐもさん、体験談をお寄せいただき有難うございます。税務調査お疲れ様でした。改めて当時を振り返り、税務調査依頼が来た際のシチュエーションとその時の心境はどんなものでしたか?
偶然、税務調査における色々なデータを見ていたので、調査が来ることは不思議ではなかったのですが、とはいえ急に来たので少し動揺してしまいました。
2008年のデータをたまたま見ていて、それによると調査件数というの何万件あります。
これは全会社の割合で言うと大体5%ぐらいで、それを低いと見るか高いと見るかなんですけれども所得が出ているとか長年調査が来てない会社って いうのは必ずいつかは入ると思っていて。
それくらいのことは情報として知ってましたが、いざ入ると動揺してしまいましたね。。
調査依頼直後の不安や懸念点
依頼直後の恐怖と不安
調査依頼が来た直後、何か懸念点があったり、不安な点はありましたか?
2008年と2009年の決算で売上を少なく申告していたことを覚えていて、2008年は50万円くらい2009年は300-400万円の売り上げを抜いてしまっていて、そこを突かれないか心配でした。
ただ私自身も大体の金額しか覚えてないので、正確な金額までは私自身が算出したくても算出できない状況でした。
来た時はおそらくこれを指摘されるのではないのかという懸念がありました。
過少申告していた売上は故意かどうかによりますが、重加算税のリスクも出てくると思います。その点の不安はありませんでしたか?
その心配もありました。売上の過少申告なので。
調査対象の年度
当初言い渡された調査対象の年度は何年分だったんでしょうか?
実は我々の場合、現況調査で事前連絡なしの抜き打ち調査でした。
飲食業やサービス業といった現金商売の法人に、現況調査が入りやすいといわれています。
私の会社はまさに現金商売の法人でしたので現況調査になったようです。 ただし、現況調査は強制捜査ではないため、後日あらためて税理士立ち会いのもとで調査を実施するなど、日程の調整は可能です。
私はそうして時間稼ぎをしました。
当初は5年分の決算が調査対象でした。 調査の過程で調査対象年度が増えるような事は無かったと思います。
税務調査の奮闘記
まず税務調査に強い税理士を探すことからスタート
現況調査のさなか、具体的にどのような対応をしたのか教えてください。
税務調査にあたっては、指摘や質問をされたり、追加資料の提出を求められたりすることもあるため、税理士と相談して適切に対処する必要があります。
私自身があまり税務調査に詳しくなかったので、独自に調べて近くに住んでいる顧問税理士に連絡しました。
それから5年分の決算を色々調べましたが、経費の二重計上や在庫の計上漏れなどはなかったですが、売上の計上漏れや翌期計上があったようで、予想通りでさらに不安になりましたね。
時系列での対応
その後なぐもさんがどのように対応していったのか時系列で教えてください。
書類の整理と確認、税理士先生との連携ですね。
調査依頼日から10日目:過去の決算資料を集めはじめる
調査依頼日から12日目:税理士先生との初回打ち合わせを行う
調査依頼日から15日目:主に該当年度の確定申告書や貸借対照表、損益計算書などの国税関係の書類を集める
大まかな流れはこんな感じでした。 ちなみに税務申告の際に提出する書類以外に、請求書や領収書など社内で保管している書類も対象となっていたので そちらも紛失した分を除いてできるだけ集めるようにしていました。
調査準備中の心境
このときのどのような心境だったのでしょうか?
めんどくさいなというのが正直な感想です。
税理士先生との初回打ち合わせもスムーズに終わりました。
ただし税務申告の際に提出する書類以外に、請求書や領収書など社内で保管している書類も調査の対象になるので、こちらを集めるのが結構大変で面倒くさかったです。
こちらは結構紛失しているものもあり完全に揃えることはできませんでした。なのでめんどくさいなと感じましたね。