この体験談でわかること
一見あまりイメージの湧かない農家さんへの税務調査。農家さんは従来販路が固定されており、かつ経費も事業者によって大きく差異があるわけではなく、税務調査に入る余地がないと思われがちです。しかし昨今の販路拡大の機運に乗って売上拡大をしてきた事業者は話は別。
今回の体験談の寄稿者であるいーなかさんも販路拡大を地道に行ってきた農業生産者様です。そんないーなかさんに突如襲ってきた税務調査は壮絶を極めるものだったことがわかります。
体験者様の詳細
体験者様ニックネーム:いーなかさん
調査時の業務形態:農業生産法人
売上と経費の構造:基本的に野菜を出荷した売り上げが収入で、それにかかるものが経費。
確定申告の状況:ご自身で確定申告をしていた(いーなかさんの妻が経理として対応)
突然の税務調査通知、その時の心境とは?
税務調査依頼の通知とその時の心境
いーなかさん、体験談をお寄せいただき有難うございます。改めて当時を振り返り、税務調査依頼が来た際のシチュエーションとその時の心境はどんなものでしたか?
当時、私は自宅兼事務所で事務作業をしているところでした。郵便物関係は経理の妻にまかせていたので、その隣でパソコンで作業をしている時でした。
いきなり妻が、「はっ。なにこれ。やばい。」と大きな声を出したのでどうしたの?と聞いたら通知書を見せながら、とうとう来たよと言いました。
それを見た瞬間、声が出ず一気に寒気が来てなにも発せずに妻と数秒無言で見つめあいました。が、その瞬間何分にも感じたのを今でも覚えています。
調査依頼直後の不安や懸念点
依頼直後の恐怖と不安
書面での調査依頼だったのですね。何か懸念点があったり、不安な点はありましたか?
5年ほど売り上げを少し隠していました。5年前から販路拡大の為に地元の道の駅に野菜や甘藷を出荷していました。その売り上げだけ申告せずにかくしていたのがバレたのだとすぐ思いました。
また経費の面で懸念もありました。
私たちは自宅の一部を利用して収穫した野菜を袋詰めしたり洗ったりということをしていたため自宅で使っている光熱費をすべて経費として算出して建物、土地の固定資産税もすべて経費にしていたのでそれもやばいかなと思ってました。
調査対象の年度
当初言い渡された調査対象の年度は何年分だったんでしょうか?
税務署の通知書では5年分の確認をするとのことでした。
申告の件は詳しくないので分からないのですが5年以上前の申告書がどこに行ったのか何年保存義務とかは分からないのですが、申告書が見当たらないのでこれ以上さかのぼって調査したいと言われたらかなりやばいな、さらになにかバツがあるのかとかなり不安でしたが結果的にはそのまま5年分の税務調査だということになりました。
かなり心臓がどきどきして汗がとまらなかったです。
税務調査の奮闘記
ネット検索で委託する税理士を調査
調査官の突然の調査のとき、具体的にどのような対応をしたのか教えてください。
通知書が届いてから当日までの間、私たちは税理士を雇っていなかったので、すぐにネットで検索して税務調査に強い税理士を探しました。すぐ電話して依頼をお願いしました。
そして翌日にはすぐに打ち合わせをしたいとのことでした。
それでだいぶほっとしたのですが、それだけでは心配でずっとネットで、「税務調査 やばい」 とか、「税務調査 どれくらい追加課税」 とかばかり検索して出来るだけポジティブな記事ばかり見て落ち着きがなかったと思います 。
時系列での対応
不安ですよね、ネット検索したくなる気持ちもわかります。いーなかさんがどのように対応していったのか時系列で教えてください。
通知書が届いた日に、税務署が指定した日は厳しかったので日時を再度指定しました。
その日は何もできずとりあえずネットで税務調査について検索ばかりしていました。
そして翌日に税理士を探してすぐにアポをとりました。
その翌日に先生の事務所で詳しく話をしました。その翌日に私たちの家に来て打合せしたいからあれこれ探して準備してくれとのことで先生に言われた書類を集めて準備して、次の日からは先生が資料を見ながら戦略を練る打合せしました。
調査準備中の心境
調査前の準備期間は、どのような心境だったのでしょうか?
届いた日はほんとに何をしたか分からず、仕事も手につかずずっとネットで色々検索していたと思います。かなり不安でした。
私は捕まるのかとかこれから先、会社はどうなってしまうのかかなり不安なことばかり考えていました。
妻には、あんたがこんなに悩んだってなにも変わらないでしょと言われたのは今でも鮮明に覚えています。
それから先生に依頼したときも、大丈夫。任せなさいとかは何も言われず淡々と業務をこなしてる感があり、あまりほっとできない一週間でした。